見学会・シンポジウム・講座
■経営指針に直結するユーザーオフィスデザインの研究
期間
2005年9月〜2006年3月
メンバー
名前
所属
岡田 弦也
(株)岡村製作所 営業本部スペースデザイン部
スペースデザインセン ター チーフデザイナー
高橋 泉
(株)清和ビジネス LOAシステム研究所
スペースマネージメント部  FMSチーム 課長
平井 康之
九州大学大学院 芸術工学研究院 人間生活システム部門
インダスト リアルデザイン講座 助教授
古矢 眞義
(有)古矢リサーチグループ 代表取締役
吉村 昌浩
(社)ニューオフィス推進協議会 主任研究員
坂巻 裕一
(社)ニューオフィス推進協議会 主任研究員
1.研究の背景
 企業組織における付加価値の追求は、オフィスデザインのあり方に大きな影響を与 えている。

日経ニューオフィス賞の受賞事例には、従来のスペース効率やワーカーの効果的運 用のみならず、組織やオフィス環境の変化をビジネスに直接生かすような傾向が見ら れる。この傾向は、中小規模のオフィスに顕著に見られ、従来の不動産戦略としての ファシリティーマネジメントを超え、より企業戦略に密着した独自のソリューション 具現化の方向にある。これには組織が小さいので経営の内容を反映しやすいというこ とがあるのは勿論であるが、その個性化・多様化の裏には、「差別化」や「集中化」 などの明確な経営指針が影響を与えていると考えられる。そのためにオフィスをコス トとしてのインフラではなく、企業目的具現化のための経営資源としてダイレクトに 計画する事例が増加しているのではないだろうか。

また将来、ユビキタス化の影響として、オフィスデザインは、物理的な建物として のオフィス環境デザインから、都市の中に遍在するワークプレイスとしての、より戦 略的なデザインプランニングが望まれると予想される。

しかしながら従来のニューオフィスの考え方は、オフィス環境の不便さ、快適では ない要素の除去や環境整備などに焦点があり、どのオフィスにも当てはまる普遍性の あるユニバーサルなソリューションが中心であった。つまりユーザビリティーの向上 (マイナスをゼロに)には効果があり、その重要性は変わることがないが、オフィス の有用性(ゼロからプラスへ)向上に関する、企業個々の経営指針や目的が深く影響 した個別的なソリューションについては、そのようなオフィスデザインを網羅する考 え方は存在せず、今後の研究が必要であるといえる。
2.研究の目的
 よって本研究では、従来の空間主体の指標ではなく、経営指針に直結した指標を明 らかにすることを目的とする。そのために従来のインフラ整備としての「ユニバーサ ルオフィス」ではなく、個別的なユーザーニーズに直結するという意味から、それら を「ユーザーオフィス」として定義し、調査するものである。
3.研究の方法
 具体的な方法としては、日経ニューオフィス賞の事例や他の多様なオフィス事例を 文献調査し、経営指針とオフィスプランニング、および実現化されたオフィスの関係 を探る。次にその関係性から具体的に経営指針がどのようにオフィスに反映されたか をモデル化する。このモデル化には今後のオフィス計画に役立てることができるよう な企業目的からオフィス実現までの指標のトレーサビリティーが重要である。そのモ デルをヒアリングやインタビューなどのユーザー調査によって検証する予定である。
4.参考文献
「分散するワークプレイス」NOPA内部資料