研究塾のご紹介

共有地問題としての「場」の設計:知識創造を促すサードプレイス研究12回コース

■講座概要
山本 仁志
立正大学 経営学部 准教授
研究テーマ:
社会モデリング&シミュレーション、評判システム

12回コース(7月〜3月の9ヶ月)
原則木曜日
18:30〜21:00
場所 NOPA会議室
定員 20名 (最小開講人数 10名)
受講料
  会員:\100,000 非会員:\120,000-
教材費 \10,000- (会員・非会員共通)
申込締切:平成24年7月5日(木)まで
諏訪 博彦
電気通信大学 大学院情報システム学研究科 助教
研究テーマ:
ソーシャルメディア、社会情報システム学

■目標
知識創造を誘発するバーチャルな「場」を共有地のコンセプトとして整理し、働く環境への応用を検討する。
■講義概要
本講義では、コミュニケーションと知識流通の場として「場」が果たす役割やそのあり方を「共有地(Commons)」 の概念で整理し、現代のCommons としてサードプレイスやカフェ、更にはバーチャルなCommons としてのSNS の効果を明らかにし、働く環境への応用について検討する。
社会には様々な共有地があり、そこでは財や知識の交換がおこなわれている。たとえば古く欧州のカフェで市 民が哲学について語り合い意見をたたかわせた場も共有地であり、ある村において村人に共有されている放牧場 も共有地である。こうした共有地が維持され価値を生み出し続けるためにはどのような仕掛けが必要なのであろ うか。共有地に働く力学の根底にはどのような理論が存在するのであろうか。
共有地に対して人々がどのように貢献するのか、またはただ乗りしようとするのかを理論的に理解する枠組み として公共財ゲームと呼ばれる問題領域がある。この領域の目的は、集団の中の個人はどのような条件で協力的 に振るまったり利己的に振る舞ったりするのかを理論的に解き明かすことである。そして持続可能な場を設計す ることがゴールとなる。現在に翻って、オフィスにおいてどのようなコミュニケーションの「場」を設計し運用 するのか、またSNS をはじめとするソーシャルメディアを如何にオフィス空間と融合させていくのかという問題 は、まさに共有地の設計問題である。インターネットが普及した社会において、リアルなオフィス環境における 共有地としてサードプレイスやカフェをどのように設計し、いかにしてネットワーク空間と融合するべきかを理 論的な枠組みと実際のケースからアプローチする。ネットワーク空間への展開を図るために、まずリアルな共有 地として活用されているカフェに注目し、どのように協力的振舞いを導き、持続可能な場を維持しているのかを 明らかにする。
第1 回から第3回では、共有地の概念やどのような問題が共有地問題に存在するのかを、抽象的な理論モデル に基づき解説し問題の所在を明らかにする。
第4回から第6回では、情報や知識の共有地として実在するカフェを題材に、共有地の設計問題について事例 検証し、バーチャル空間への展開について考察する。まず、第4回では、第3回までの理論モデルに基づいて、 事例検証する際の観点について整理する。第5回では、整理した観点に基づいて実際のカフェについて事例検証 し、どのような特性が共有地の悲劇を回避し、知識創造を誘発するのに貢献しているかを明らかにし、共有地設 計モデルを構築する。第6回では、抽出した特性をバーチャルな場へ応用するための手法について検討する。
第7回以降のワークショップでは、第6回までの議論を踏まえ、如何にオフィス空間とバーチャルな知識創造 の「場」を実際に融合させていく方法について、参加者と共に進めていく。
■対象者
リアルなオフィス環境の構築・バーチャルなオフィス環境の構築のみならず、モチベーションの向上や組織目標 の共有促進なども含んだトータルなワークプレイス設計に関心のある人々。
知識創造(ナレッジマネジメント)施策を、IT 施策とファシリティマネジメント施策を連動させることで実質的 な成果に結び付けたいと考えている人々。組織の活性化を実現する手立てを模索している人々。
オフィスのサプライヤー企業に属し、先進的なオフィスの研究、企画、開発にかかわる人々。
■テキスト
配布資料を中心とし、必要に応じてWeb経由で提供する
ノートPCもしくはスマートフォンを持参ください。講義とネットを連携させます。
■日程
第1回
7月12日(木)
18:30〜21:00
1.共有地と「場 」
  1.1   共有地問題と共有地の悲劇
  1.2   新しい共有地としてのインターネット空間
第2回
7月19日(木)
18:30〜21:00
2.公共財ゲームと囚人のジレンマ
  2.1   公共財ゲームとはなにか?
  2.2   様々な社会問題と公共財ゲーム・囚人のジレンマ
  2.3   公共財ゲームの実験と人々の行動
第3回
8月2日(木)
18:30〜21:00
3.インターネット空間における「場」の設計
  3.1   インターネットにおける共有地とは
  3.2   共有地としての企業内SNS
  3.3   リアルとネットを結ぶ試み(地域SNSの最前線)
第4回
8月23日(木)
18:30〜21:00
4.情報や知識の共有地設計問題
  4.1   共有地問題の整理
  4.2   事例検証のための観点の抽出
第5回
9月13日(木)
18:30〜21:00
5.実在するカフェに基づく事例検証
  5.1   実在するカフェの観察
  5.2   共有地設計モデルによる検証
第6回
9月20日(木)
18:30〜21:00
6.バーチャルな場への応用
  6.1   共有地設計モデルをバーチャル空間でどういかすか
  6.2   ワークショップに向けて
【ワークショップ】第7回〜12回
第1回から第6回までの内容を踏まえ、バーチャルな知識創造の「場」として特に重要であると考えられる課題を設定した、ワークショップを継続実施します。

第7回〜12回までの内容については、第6回 6.2 ワークショップにむけて で決定します。

開催期間:10月〜3月(月1〜2回程度)開催予定です。

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