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自然との共生を目指す低エネルギーオフィス
訪問日時/
1997年10月7日(火)
14:30−16:30
訪問先/
Building Research
Establishment Ltd.
所在地/
Garston、 Watford WD2 7JR
United Kingdom
Tel:01923-664000
Fax:01923-664010
先方応対者/
Mr.Michael R Clift
(Construction Process Division) |
外壁反射パネルはコンピュータで制御
され、温度をコントロールしている。 |
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1.BREの概要
- BREは、建設関係のあらゆる側面の研究とコンサルタント業務、並びに火災の予防と管理の研究を行う英国の主導的センター。
- 1921年に政府の機関として創設されたが、1997年3月より「建設環境における卓越と革新を守る」ことを使命とする非営利の団体(Foundation
for the Built Environment)に所有されている。
- 団体のメンバーは、建設業、ビル所有者、関係団体、大学等で構成され、現在のメンバー数は約100。
- BREの施設は3ヶ所にあるが、本部はGarstonで、新しい環境ビルも本部敷地に建てられている。
2.環境ビルの視察概要
- BREでは、以前から低エネルギーオフィスの研究を行っていたが、1991年から、関係業界及び専門家をまじえ将来の省エネオフィス(EOF:Energy-efficient
Office of the Future)プロジェクトに取組んだ。
EOFの意味は、将来の環境オフィス(Environmental Office ofthe Future)に変わったが、新しい環境ビルが1996年12月に完成し、1997年5月にオープンした。
- 21世紀のオフィスのモデルとして、実際に使用しながらデータを収集・評価していく実証実験的なオフィスビルで、具体的な目標として30%の省エネを目指している。
- 2,000u、3階建てのビルで建設コストは1,100ポンド/u。
オフィススペースは、1,220uで1人当り12uを想定。
現在1,2階部分を60名の職員が使用中だが、最終的には3階部分を含め100名のワーカーが勤務予定。南側が大部屋のオープンルーム、北側が小部屋方式。別途、セミナールームも設けられている。
- 省エネの方法としては、自然光と自然通気を有効に利用し、照明及び空調用電力使用量を出来るだけ削減しようというもので、このための工夫が設計上の特徴となっている。
- 自然光の利用については、南側の窓の外に40cm幅の半透明の強化ガラス板のよろい戸が付けられおり、電動でこのガラス板の角度を変更し、採光度合い(遮断、通過、反射採光)を調整することが出来るようになっている。
- また、空調費より照明コストの方が高いということで、照明には新しく開発された省エネタイプの蛍光燈が使われており、携帯スィッチで100%から50%まで照度の調整が出来るようになっている。
- 自然通気の利用については、通気孔となっている波状の形をした天井(1,2階)と、ビルの屋根に突き出た5本の換気用煙突が最大の特徴。
- この方式の利用は6−7階までのビルなら可能、それ以上は風が強すぎるとの説明。
- 冬は床暖房で、夏には、この床パイプを用いて地下70mの井戸水(12℃)を冷房用に利用することも可能な由。その他、断熱のため壁、床も厚くし、ソーラーパネルも設置している。
- なお、収集データは今後公表していく予定との説明。
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古い建物を壊した跡地に環境ビルを建設したので、古レンガの再利用等リサイクルの面にも配慮している。 |
3.感想
- 革新的なものに果敢に挑戦する英国らしいプロジェクト。
- 日本の密集したビル群の中のオフィスの省エネをどう進めていくかは重要な課題であり、日本と気候風土は異なるが、今後の技術開発を含めて刺激を与えてくれるプロジェクトと思われる。
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