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伝統の中に自然と動きを取り得れる
訪問日時/
1997年9月30日(火)
10:00−13:00
訪問先/KPMG本社
所在地/
Burgemeester Rijndersllan
10、1185 Amstelveen
Tel: 020-656-8686
Fax: 020-656-8181
先方応対者/
Mr.J.F.T.Quick
(Manager of Facilities)
Mr.C.E.de Bue
(Manager of IT Infrastructures)
Mr.Giichi Nakamura
(Manager of Japan Desk) |
階段斜面にグリーンオアシスがあり、水が流れてる |
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1.KPMGビルの概要
- 世界有数の国際的な会計・税務・コンサルティング会社の本社ビルで、延床面積50,000u、全長500mで、7つのユニット(建物)から構成されている。
- 1988年11月着工、1991年夏完成。現在同ビルに勤務するKPMG職員は約1,500名。
- ビル設計のコンセプトは、建物の内側と外側の均質性であり、内と外とが調和した環境のもとで人々は創造力を最大限に発揮できるという考え。
- ビル全体を小さな村と意識し、ビル内部では、例えば、廊下のデザインには村の通りをイメージした動きを取り入れている。
自然(素材、色彩、光、水、緑)と動き(流動性を表す非直角な形、斜線)が設計の重要な要素となっている。
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KPMGビルは中央の建物から左右対称の建物が並ぶ。 |
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2.視察概要
- KPMGビルの入口は2ヶ所。センサーで入室カードをチェックする。
自然に見られる材料を用いるという考え方で、床は石材、天井には木質系の材料を使用している。
- ビル内の各ユニットを繋ぐドアのセキュリティ・センサーも木質系のオブジェ風ボード(ここでも直角が避けられている)で覆われており、優しい雰囲気を持たせている。
- 廊下もガラス張りを多用し、自然光を採りいれて明るく、また、単調さを避けるため、窓の形、天井(蝶のモチーフ)、廊下の広さ、曲がり等に工夫を凝らし、随所に村の小道をイメージした動きのコンセプトを反映させている。
- 会計業務ではチームを組むこともあるが、税務業務等基本的には個人プレーのため個室が多く、部屋数は全部で1,800室。ここでも個室のドアの横に直角を避けたガラス窓を設け、動きの考えを取り入れている。室内の窓の土台も低く、展望も開けている。
個室のドアの横のガラス窓が印象的
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- 会議室以外にオープンなミーティングコーナー、コーヒーコーナーも設けられている。
- 階段の横に水の流れる小さな屋内庭園(グリーンオアシス)も設けられている。また、階段の手すりの部分にも動きを表す斜線が有効に取入れられている。
- 図書室の書棚も直角を避けるデザインで、書棚の上にある照明は、人が書棚の前に立てば点灯し、離れれば消灯する仕組み。
- 食堂は2ヶ所で席数は各250席。営業時間は12:00−13:30で、食事用のカードで支払う方式。各種のイベントにも利用出来るように、床はカーペット敷き。
- 庭園は、基本的に人の手入れを要しない自然庭園方式で、庭園の総面積は17,000uに対し年間の総手入れ時間は1,600時間。建物に囲まれた内庭は4つ有り、建物の保護と景観のため建物の壁にクライミングフレームを設けている。
- 駐車スペースは地上300台、地下850台で、内庭は駐車場のルーフガーデンとなっている。
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3.ビル管理・FM
- 当初、KPMGが20,000u、年金基金が30,000u所有していたが、本年4月15日に30,000u分もKPMGが買取り、同日付で全体をC.G.I.へ売却し、そこからのリース形態で使用している。
リース料は年間375ギルダー/u(1ギルダー=約60円)。セキュリティ管理、光熱費等も含んだ全体のコストは年間711ギルダー/u。ビル全体の年間コストは3,600万ギルダー。
- ドア等特注品も多いが、ビルの規模が大きいので、発注量も多く、単価を抑えることが可能となり、内装コストは通常のコストの10%増に抑えることが出来た。
全体の建設コストは20,000u分(建設当初のKPMG所有分)で2.2億ギルダー。
- 現在、KPMG以外のリース利用分は8,000−9,000u程度で減少傾向。KPMG関係では1,500名の職員以外にパート等で約140名(週40時間労働換算で70名)が食堂、清掃、警備等の業務で働いている。
- KPMGビルのFM(ファシリティマネジメント)はマネージャ1名、アシスタント2名、週20時間のパート1名で担当。
- FMについての説明では、アメリカでは不動産管理中心だが、オランダ・北欧では不動産のみならず、働く人々のクオリティを上げる(病欠率の低下、対顧客サービスの向上)ための建物内のサービスを含めて全体的・統合的にとらえており、行政機関(特に環境庁)も熱心との話があった。
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4.情報技術
- 情報システム部門は増大傾向で、現在100名(運用60名、企画40名)。
- コミュニケーション、オープンテクノロジー、メインフレーム及びオペレーションの4部門があるが、将来はメインフレーム(経理、顧客情報管理)部門を廃止し、コミュニケーション部門を拡張する予定。(システム部門は撮影禁止)
- 各オフィスへの配線は天井配線で、1.8m間隔で接続可能。
5.感想等
- 建物、内装、ワークスタイルに特に奇抜なものはないが、全体的に広く、明るく、また、特に内部は随所に「自然と動き」の工夫を凝らした見事なもので、全体的に落ち着きと安心感を与えてくれる伝統ある企業の立派なオフィスビル。
- 1991年ビル完成以降の情報技術の急速な進展への対応がKPMGにとっても当面の課題と思われ、システム部門の人員増が行われているせいか、情報システム部門のオフィスに少し手狭さが感じられた。
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