沿革

ニューオフィス化の推進

ニューオフィス運動

ニューオフィス運動の歩み

昭和60年代初め頃、自動車交渉での日米貿易摩擦に代表される経済摩擦や日本の住環境に対する「うさぎ小屋」との批判にも象徴されるごとく、 工業生産を中心とする日本の高度成長は、いわば国民生活を犠牲にして成り立っており、アンフェアであるとの批判を受けていました。
また、いわゆる経済のソフト化・サービス化が急速に進展し、全就業者のうち、およそ半数の3000万人もの人々がオフィスで働く時代になっていましたが、産業界においては、ともすれば「もの」を直接生産する工場のみを重視する傾向にあり、社会ニーズに即応した戦略立案を行うべきオフィスの重要性が未だ理解されていない状況でした。
さらにオフィスの生産性向上のために、OA化が急速に進んできた時代でもありましたが、OA機器の機能は目覚しく進展を遂げているものの、OA機器がオフィスの環境面に与える影響に対しては、必ずしも目が向けられているとは言えませんでした。 このような状況の中で、政府は「ゆとりと豊かさ」を政策の最大のテーマのひとつとして取り上げ、当時の通商産業省(現経済産業省)もこれを政策の柱としていました。これは、海外からのアンフェアであるとの批判に対して、国民が心の豊かさやゆとりを感じられるような環境や生活の質的向上をもたらすと共に、内需拡大を図ることも大きな狙いでした。 通商産業省では、これらを具現化する諸施策を打ち出しており、生活産業局管轄の目玉となったのが、「生活文化ルネッサンス」や「ニューオフィス」でした。ニューオフィスは、これからの我が国の経済成長を支えるのは生産現場よりはむしろ知的生産活動であると言われ始めていた時代背景の中で、当時の生活産業局長濱岡平一氏が、前任地で体験した米国と日本のオフィス環境の落差に着目し、発想された政策であり、勿論、内需拡大もその目的のひとつでした。

ページの先頭へ

年譜

主な委員会・講座・刊行物等 主催 ・共催
1986年
7月
ニューオフィス推進委員会発足 通産省
12月
「ニューオフィス化推進についての提言」公表  
1987年
6月
「ニューオフィス推進協会(NOPA)設立  
10月
オフィスデザイナー養成講座開始  
1988年
4月
「ニューオフィス化の指針」公表 通産省
6月
第1回日経ニューオフィス賞受賞オフィス発表 日経新聞
10月
「ニューオフィス化の指針<解説版>」発行  
11月
第1回ニューオフィス国際シンポジウム開催 日経新聞
1989年
3月
ニューオフィス推進協会社団法人化  
1990年
10月
FM総合講座開始  
1992年
5月
「今後のオフィスづくりのあり方」(第二指針)公表 通産省
1993年
1月
「第二指針解説版」発行  
10月
「ニューオフィス化の指針<解説版>/改定版」発行  
1994年
5月
「ニューオフィスミニマム」公表  
6月
「ニューオフィスマーク制度」発足  
1996年
11月
「オフィスは多様な選択の時代へ」発表  
1997年
3月
ファシリティマネジャー資格制度発足 JFMA・
BELCA
6月
FM実力養成講座 BELCA
1999年
12月
NOPA事務所移転  
2001年
3月
「ニューオフィス事例集」発行  
2002年
3月
「中小企業のオフィスづくり手引書」発行  
2003年
3月
「変革期のオフィス構築研究報告書」発行  

ニューオフィス化推進の基本的方向性


 昭和61年12月通商産業省の諮問機関である「二ューオフィス推進委員会」より、オフィスの環境改善の必要性と基本的な方向性を示す「ニューオフィス化推進についての提言」が公表され、ニューオフィス推進運動が本格的にスタートを切りました。
その後、ハードウェアを中心に具体的なニユーオフィスを解説した「ニューオフィス化の指針」、企業経営におけるオフィスのあり方を示した「今後のオフィスづくりのあり方(第二指針)」が公表され、ニューオフィス推進運勤の基本的な考え方として、今日現在まで受け継がれています。
また、時代の変化と共に情報通信技術が飛躍的に進展しワークスタイルやオフィス形態も大きな変化が予測されている現在、時代にあった新しいビジョンの創造が求められいますが、平成8年11月に発表した「オフィスは多様な選択の時代へ」は、この新しいビジョンヘの橋渡しの役割を担うものです。

ページの先頭へ

ニューオフィス化推進についての提言

  オフィス環境改善のための基本的な考え方を示すために策定されたもので、日本におけるオフィス環境の改善が、広範囲にわたり進展することの期待を込めた、言わば「二ューオフィス宣言」とも言えるものです。

(1)
3000万人オフィスワーカーが生活時間の相当部分をすごす場であるオフィスを快適かつ機能的なものに。
(2)
オフィスは「人間の生活の場」であるとともに、「情報化の中核の場」、「企業文化の発現の場」、「国際化の前線の場」。
(3)
オフィスにおける住まい方の検討、適切なオフィス機器の導入を通じてオフィスの多様性と柔軟性の確保を。
(4)
ニューオフィスミニマムの作成等による経営者等の意識改革により、ニューオフィス化の普及を。
 
これらの考え方を基本に、二ューオフィスの基本的性格づけや、オフィフ改善の必要性とその効果などが論じられており、ニューオフィス運動を推進する人々にとって、バイブル的な位置づけとなっています。特に(2)における4つの概念は、オフィスを考える上で基本的な4つの柱として性格づけられています。

ニューオフィス化の指針(第一指針)

  「ニューオフィス化推進についての提言」を受けて、ニューオフィスを実現するに当たって留意すべき諸点を具体的に明示し、快適かつ機能的な二ユーオフィスづくりのためのガイドラインやチェックポイントとしてまとめられたものが「二ューオフィス化の指針」です。これらの諸点を、オフィスの環境、オフィス内のハードウエア、オフィスの設計・管理の3つの観点に大別しそれぞれに人、組織、情報をからめて、オフィスの望ましい姿が論じられています

ニューオフィス化の指針(第一指針)

  「提言」と「指針」をベースにニューオフィス推進運動が展開される中で、ニューオフィスは広く国民に認知され、オフィス環境はハードウェアを中心に大いなる改善が図られてくるようになりました。さらに「ゆとりと豊かさ」のある国民生活の実現を図る上で、ニューオフィス化は単なる什器・備品の新調ではなく、時代の要請に合った21世紀に向けた真のニューオフィスづくりのあり方が求められてきており、これに対してニューオフィス推進委員会における中間意見としてとりまとめたたものが「今後のオフィスづくりのあり方」です。第二の指針と位置付けされるもので、「提言」で述べられたオフィスの基本概念である4つの柱を軸に、さらに時代変化を踏まえて発展させたそれぞれの視点から、これからのニューオフィスのつくり方、使い方について述べています。

オフィスは多様な選択の時代へ

当協議会内に設置された「高度情報化社会におけるオフィスのあり方検討委員会」(委員長:慶應義塾大学理工学部岡田謙一助教授)は、21世紀初頭を念頭に予想される経済社会環境の変化、情報通信技術上の可能性、企業の経営戦略、ワーカーの意識や価値観の変化、様々な社会的要請等について多面な分析をおこない、これを総合する形で今後のオフィスのあり方を報告書としてまとめ、平成8年11月に公表しました。高度情報化社会におけるオフィスのあり方は、単にオフィス環境がどうあるべきであるかといった問題だけではな〈、企業における仕事の仕方、仕事の流れ、仕事の場所など、いわば企業活動の全てががかわってくる大きなテーマであり、また、オフィスの情報化は環境保全、高齢社会への対応、男女雇用均等、身障者対策等の社会的要請に応えていく上でも重要な意味があり、当報告書は今後通産省が手懸けていく新しいビジョンの創出へ繋げていく役割を担っています。
関連情報:オフィス実態調査

ページの先頭へ